事業がグングン伸びる「院長のための効果的な時間管理術」

本コラムでは、歯科医院経営でもっとも重要な資源である「院長の時間」を管理する効果的な方法をご紹介します。

診療のみならず、採用・教育などのスタッフマネジメント、総務や労務対応、各種マーケティング、クレーム対応や危機管理など様々な業務に追われ「毎日忙しくて時間がない」という院長がほとんどではないでしょうか。

平日は診療後に夜遅くまで雑用を含む業務をこなし、休日もセミナー・勉強会などの仕事に追われる。さらにご家庭をお持ちの先生方は家事や家庭の行事もある。

時間管理は、どの業種の経営者であっても「成功」に欠かせない重要な取組です。時間管理の原理原則に基づいて、多忙な院長の為の効果的な時間管理についてお伝えします。

目次

まずは現状把握、時間の記録を取ってみる

まずは現状把握、時間の記録を取ってみる

    歯科医院経営にまつわる大小様々な取組みがありますが、うまく物事が進まない最大の理由が「時間が足りない」ことではないでしょうか?

    • ホームページをリニューアルしたい。
    • 採用媒体の内容を充実させたい。
    • スタッフ向けの勉強会を行いたい。
    • 患者さんへの説明ツールをブラッシュアップしたい。
    • カルテのペーパーレス化を実現したい。

    など、やりたいことはたくさんあるが、時間がなくてずっと後回しになっていることはありませんか?

    なんとか、時間をねん出する方法ないかと考えながらも、何をすればいいのかわからない。

    ドラッカーも指摘していますが、そういった院長先生は一度ご自身の「時間の記録」を取ってみることをお勧めします。

    経営者である院長にとって常に不足する資源である「時間」、その時間をご自身がどのように使っているのか、まずはご自身の時間の使い方を把握しましょう。

    具体的には、2週間くらいの期間を決めて毎日ご自身の時間の使い方の記録を取ってみます。

    ポイントは、出来る限り「ログを取る」ことです。

    自分の診療、スタッフの診療のチェック、患者さんへの説明、診療中の電話対応、営業マンとの打合せ、ミーティングの準備、メールチェック、など業務内容とその時間を、できるだけ詳細に記録します。

    これはある院長に教えていただき、私自身も実際にやってみたことがありますが、記録を取ってみると、想像以上に不必要なことに時間をかけていたことに気づかされました。

    まずはご自身の時間の使い方の現状を把握すること。これが第一歩です。

    そして次に、リストラできる業務や他者に任せることのできる業務がないかを検討しましょう。

    • 本当に院長自身が説明しないといけない内容なのか?
    • 診療中だけでなく、診療後にまとめて行えばもっと早く終わる仕事ではないのか?
    • マニュアルや手順をつくれば、院長に対する質問が減るのではないのか?
    • 習慣で続けているだけで、いまは必要性が低くなった業務を行っていないか?

    「時間の記録を取る」「時間の使い方のチェック」の2つを実践してみるだけでも、大きな改善のヒントが見つかる方は多いでしょう。

    ポイントとしては「常に体系的に廃棄できる業務があるはずだ」という視点でチェックする事です。

    ある院長先生は、

    ・何かをやろうとする前に、まず「何をやめるか」にフォーカスして考える。

    ・「そんなに大変じゃないからこのままで良い」というような業務もリストラしていく。

    と教えてくださいました。

    その上でリストラできないが、「自分でなくても対応可能な業務」を探し、スタッフに仕事を降ろしていくことで時間を生み出していきます。

    集中時間を確保して効率を上げる

    集中時間を確保して効率を上げる

      次に時間を効果的に使う方法が、空いた時間の中で「集中(まとまった)時間の確保」をすることです。

      本当に重要な仕事に取り組むためには、集中して取り組めるまとまった時間が必要です。

      熔鉱炉の中の鉄を溶かす温度にするためには一定の時間が必要なように、重要な仕事を進めるためには、集中して考える時間がなければできません。

      これは、どんなに細切れ時間がたくさんあって、積算された時間数が同じであっても、アウトプットは大きく違います。

      最初にご紹介した方法で、手持ちの時間をねん出したら、週に1回のもまとまった時間の確保を心がけましょう。そして、それを第二領域と言われる緊急ではないが重要な事柄を進める時間に充てていきます。

      例えば、毎週月曜日の○時~○時は第二領域の重要な業務を推進する時間と決めてしまい、事前にアポイントをブロックするなどして、集中時間を確保します。

      このような話をすると、理屈は分かるけど毎日忙しく、どこを集中時間としてあければいいのかわからないという院長先生もいらっしゃると思います。

      そこで私の担当医院様で行われた一つのやり方をご紹介いたします。

      直近数ヶ月の「院長の自費アポイント数」と「DH予約数並びに勤務人数」を曜日、午前、午後で区切ってカウントします。

      その上で医院経営にもっともインパクトの少ない時間帯を特定し、その時間を第二領域に集中する時間としてアポをブロックし活用されている院長がいらっしゃいました。

      「この時間を利用して経営に集中することにより、医院にとってより重要な事柄を着実に進めることができるようになった」と喜んでいらっしゃいました。

      経営計画を策定し進むべき方向性を定める

      経営計画を策定し進むべき方向性を定める

        では、この集中時間を使って具体的にはどのような第二領域業務を進めればよいのでしょうか。

        いわゆる医院の第二領域業務も、診療システムの強化、重要な人間関係づくり、医院の危機管理や予防保全の為の業務、次のステージに向かう為の準備などいろいろありますが、何から進めればよいかわからないという院長もいらっしゃるかもしれません。

        そういったときには「経営計画の策定」を行われることをお勧めします。

        経営計画を策定することにより、数々の重要な業務のなかで「やらないことを決めることができる」ので時間の効率が格段に上がります

        貴重な院長の時間をより重要な事柄に費やし、重要な事柄の中でも今やらないことを明確化できる経営計画を策定することにより、時間を圧倒的に効率化することが可能となります。

        経営計画と言っても難しいものは必要ありません。

        よくわからないという方は、まず以下のような内容から取り組まれるのが良いのではないかと思います。

        • 医院の理念やビジョン
        • 3-5年の中期的な方向性
        • 1年程度の短期的な方向性
        • 経営方針
        • 教育体制や組織体制

        大事なのは経営計画を通じて院長の想いや方向性を整理し、やるべき事、やらない事を明確化する事。

        それをスタッフの皆様と共有し、各メンバーが「院長と同じ方向」を向いて歩んでいけるように、考えを共有する事だと思います。

        スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』の一節に、「もし、はしごをかけ違えていれば、一段ずつ昇るごとに間違った場所に早く辿り着くだけである」とあるように、院長以下スタッフが医院の進むべき道を理解していることが正しい場所にはしごをかけているということになり、結果的に時間の節約にもつながってきます。

        「うちは小さな医院なので経営計画など必要ない」と考えられる先生方も多いかもしれませんが、伝説の経営コンサルタントと呼ばれている一倉定氏は以下のように書いています。

        だから我社の未来を決めてしまう経営計画に、時間を節約するというほど、間違った時間の使用法はないのである。

        経営計画に時間をかけることこそ、時間の最も有効な使用法である。

        というのは、計画に費やした時間の数千倍、数万倍の時間が、それ以降に節約できるからである。

        その意味は「利益が増大する」ということである。仮に一年で利益が二倍になれば、一年間節約したことになるからである。

        (出典:『一倉定の社長学シリーズ2 経営計画・資金運用』 一倉 定)

        まずはご自身の時間管理を行い、まとまった時間を第二領域に費やし、しっかりとした計画の上で医院運営を進めることにより、時間の不足に嘆きつつも、毎年毎年、重要な仕事が進み、歯科医院が成長していくという実感を持つことができるでしょう。

        まとめ

        本コラムでは、歯科医院経営の成否を決めると言っても過言ではない「院長の時間管理」について、事例も踏まえて3つのポイントをご紹介してきました。

        1. まずは現状把握、時間の記録を取ってみる
        2. 集中時間を確保して効率を上げる
        3. 経営計画を策定し進むべき方向性を定める

        時間管理はすべての管理の基本です。そして歯科医院経営の一番重要なリソースは「院長の時間」です。

        私自身も実践し、とても有効性を感じた取組みです。先生方もぜひ一度トライしてみてはいかがでしょうか。

        その上で、院内に業務を任せることができるスタッフが育っていない、第二領域を進める上で他医院の成功事例なども含めてアドバイスが欲しいという場合には、私たち「Mr.歯科事務長サービス」のご活用をご検討ください。

        みなさまの歯科医院経営のますます繁栄をお祈りしております。

        この記事の解説者

        Mr.歯科事務長

        吉本 圭一 Keiichi Yoshimoto

        兵庫県出身 血液型O型

        大学卒業後、外資系スポーツアパレルメーカーの法人営業部でセールスの基礎を徹底的に
        学ぶ。

        30代半ばで通販会社を立ち上げる。代表としてWEBマーケティングやマネジメントに従事。その後、通販会社経営と並行して、3Dスキャナーの輸入代理会社を立ち上げる。

        投資家からの資金調達・広報・マーケティング・経営戦略立案などの業務に従事し、実践力のあるビジネススキルを磨き上げる。

        会社株式譲渡後にMOCALに参画。関西エリアに拠点を置き、歯科医院の経営・マーケティング・人事マネジメントなどに貢献している。

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