歯科医院のマネジメントシステムを創ろう!自走するスタッフの育て方(後編)

スタッフが自ら考え、動く組織を作るための基本を2回にわたってお届けしています。前編では、給与や制度などの安心できる環境が、人の行動意欲の土台(心理的安全性の基盤)になることをお話ししました。後編となる今回は、その安心の上に、いかにして意味や納得感を積み上げ、スタッフがやりがいと成長実感を持って動き出す仕組みを作るかについて深掘りしていきます。

目次

満足の先にある自己実現とやりがいの仕組み

自己実現を求める段階でのやりがい

心理的安全性が担保されると、人は次に所属、承認、そして尊敬されたいという欲求を抱き始めます。さらにその先にあるのが、理想の自分になりたい、自分の能力を発揮したいという自己実現の欲求です。この段階に達したスタッフが求めるのは、単に楽しいことではなく、自分の行動には意味があるという納得感に基づいたやりがいです。やりがいを感じるスタッフは、自ら課題を見つけ、改善に挑む意欲を持ち合わせるようになります。

正解は人それぞれという前提に立つ

やりがいを生むための唯一無二の正解は存在しません。なぜなら、何に価値を感じ、何に突き動かされるかという源泉は、一人ひとりの価値観によって異なるからです。マネジメントにおいては、スタッフそれぞれのやる気スイッチがどこにあるかを探る視点が不可欠です。

スタッフのやる気スイッチを探すマネジメントの視点

マネジメントとは、限られた資源を最大限に活用して成果を上げることです。

人財の能力を引き出すのはリーダーの役割

スタッフの能力を相手任せにするのか、自ら引き出す努力をするのか。院長にはその選択が常に求められています。やる気スイッチを自分で押してほしいと願うだけでなく、経営資源である人財を活かすために、院長自らがスイッチを探す姿勢を持つことが、自走型組織への近道となります。

小さな役割が大きな自走力を生んだ受付スタッフの事例

ある医院で、指示待ちがちだった受付スタッフに物販売上アップのリーダーを任せた事例があります。役割を与えられた彼女は、自らデータを分析し、衛生士と連携して改善案やトークスクリプトを作成し始めました。最初はスモールスタートでしたが、1か月後には医院全体を巻き込む取り組みに発展し、売上は倍増。成果への肯定的なフィードバックが、彼女を自発的に他の課題へ取り組むスタッフへと変貌させました。

やりがいを生む6つのスイッチ

スタッフが仕事に満足を感じるポイントは、大きく分けて以下の6つに集約されます。

  1. 仕事の達成:目標や業績を達成することによる満足
  2. 仕事の承認:自分の能力を認められることによる満足
  3. 仕事の責任:大きな責任を伴う仕事に携わる満足
  4. 仕事の内容:業務そのものに意義を感じる満足
  5. 昇格・昇進:組織内での立場が上がる満足
  6. 自己の成長:人間的な成長を実感することによる満足

多くのスタッフにとって、給与や賞与はこれらの達成に対する評価の証です。この6つのうち、どのスイッチが本人にとって重要かを見極めることが大切です。

医院内で満足を得られる仕組みが組織を強くする

重要なのは、これらのやりがいを医院の中で満たせる仕組みがあるかどうかです。

スタッフが医院における自分の役割の意味を理解し、成長を実感できる仕組みがなければ、自走する組織は生まれません。以下の要素を整えることで、スタッフは自分の存在が必要とされていると感じ、主体性を発揮するようになります。

  • 明確なビジョンの提示と共感の醸成
  • 透明性の高い目標設定とフィードバック
  • 所属意識を高めるチーム文化の構築
  • 互いに信頼し合える関係性の維持

満足のその先、共感で動く組織へ

スタッフ満足度は通過点にすぎません。その先にあるのは、やりがい、納得感、そして共感に基づく関係性です。

安心という土壌に、やりがいという肥料を撒き、共感という太陽の光を当てる。院長が一方的に引っ張るのではなく、同じ目的地を見据えて共に歩む。そこにこそ、本当の意味で自走するスタッフが育つ環境があります。まずは今日、一人のスタッフに小さな役割を与え、その意味を伝えることから始めてみませんか。

解決の糸口が見えない、スイッチの探し方が分からないといった場合には、豊富な経験を持つ専門家の知見を活用することも有効な手段です。Mr.歯科事務長では、院長の理想とする組織づくりを全力でサポートいたします。

この記事の解説者

MOCAL株式会社 

穐澤 静香 Shizuka Akizawa

大学卒業後、大手外食産業に入社。サービスとホスピタリティを徹底して追及する企業カルチャーでサービス・ホスピタリティマインドをビジネススキルの基礎として身につける。

大手人材サービス系列の情報通信会社へ転職し、ITエンジニアとして顧客先に常駐。金融系の大規模プロジェクトへ参画し、チームマネジメント、プロジェクトマネジメントを経験する。

その後、「人事」へキャリアチェンジし、組織開発・人事戦略を担当。数百人の社員に対して人事面談やキャリア形成を支援するなど人事のプロとして活躍。さらに、グループ会社のバックオフィスマネージャーとして沖縄へ移住し本社機能立て直しやグローバル戦略促進のための仕組み作り、会社統合に伴う社風/制度の統合など、ビジネスの第一線で課題解決の豊富な実績を積む。

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