なぜ「アウトソーシング歯科事務長」なのか?
この問いについて参考となる見解を、ドラッカーは著書『未来企業』で以下のように説いています。
「生産性を向上させるには、仕事を立派に行うことによって昇進できなければならない。周辺的な仕事の場合においてこれが可能となるのは、それらの仕事を外部に任せたときだけである。アウトソーシングして初めて、それらの仕事に機会と敬意と将来性を付加できる」
『未来企業—生き残る組織の条件—』P.F. ドラッカー
たとえば大学職員である限り、学生食堂の主任はいかに有能でも、いつまでたっても大学の一職員である。学生食堂の運営は、大学の価値体系の中心には位置付けられていないからだ。
しかし、独立した給食会社の社員であれば、昇進していくつもの大学食堂を管轄する事業部長になれる。うまくいけば社長にもなれる。問題に直面しても、会社には手を貸してくれる経験者がたくさんいる。仕事や設備の改善提案は、真剣に受け入れられる。
ほとんどの周辺的な仕事は、社内に置き続ける限り独占事業である。したがって、生産性を向上させるインセンティブがほとんど働かない。そこには競争も働きづらい。仕事ぶりを批判されると、人員増で応えようとする。
ところがアウトソーシング先の場合、サービスの向上とコストの削減に努めなければ、いつ競争相手に委託契約を奪われても仕方のないことを承知している。
「昇進の機会のない仕事はすべてアウトソーシングが常態になる。これこそ事務処理的、保守管理的、補助的な仕事にとって、生産性向上の唯一の方法かもしれない」
『未来企業—生き残る組織の条件—』P.F. ドラッカー
経営コンサルタントとの違いは?
経営コンサルタントとの最大の違いは「アドバイスのみ」ではなく、「実務を遂行する」点です。
歯科医院経営には二つの構造的な特徴があります。
労働集約型の歯科医療は、院長が治療をして初めて収益が生まれます。
院長の時間のほとんどは、自分自身が治療にあたることに費やされるため、仕組みづくりやマーケティング、情報共有やミーティング、人材の採用・教育などのために割く時間がほとんどないという「時間の問題」が構造的な特徴の第一点です。院長は、さながら日々にハードな業務をこなすプレイングマネジャーにも似ています。
そしてもう一つが、チームをつくり組織を動かしていく難しさです。
一般的に歯科のスタッフは、一般企業や組織経験が少ない女性スタッフが多い傾向があります。この女性スタッフとともに組織的に仕事を進めていけるようにしていくことが、医院の仕事の生産性向上に大変重要なポイントとなります。
しかし一般企業の社員でも、様々な研修やOJTを通じて、時間をかけて組織仕事を覚えてゆくわけです。スタッフ育成は歯科に限らず労力と根気と時間のかかるものであり、院長が多くの時間を教育に割かなければならない実情があるのです。
現状の院長の孤軍奮闘から、業務をどう組織仕事に変えていくか?という「人材・組織の問題」が構造的な特徴の第二点です。
アウトソーシング歯科事務長は、この二つの歯科の構造上の特徴に対して、アドバイスだけにとどまらず、具体化な経営実務をサポートします。
具体的には、
- ミーティングの議題管理と運営
- 各種課題の管理・進捗管理
- マーケティング効果の継続的な施策と管理
- 業者やパートナー企業との調整管理
- 人事一般(採用活動・面接・院内の人事調整)
- 院内の資料・ツール作り
- 医院スタッフ様の業務管理
- スタッフ様を巻き込んでの仕組みづくりの実務
など、自らの業務として実務を取りまとめます。
同じ金額を支払うのならフルタイムスタッフの方が得なのでは?
問題解決のための「事務長の雇用」自体が、新たな悩みの種になることも。
専任やフルタイムの事務長雇用にはいくつかの方法が考えられます。
1. 専任事務長を社員として雇用する
弊社では「専任事務長の採用をしたい」というお客様のニーズをよくお聞きします。歯科医院に事務長職として就職した場合、その方のキャリアプランは生涯事務長のみになる可能性が高いでしょう。上司は生涯院長のみという環境ですので、歯科医院と一般的な企業を比較した場合、バリエーションのある魅力的なキャリアプランが極めて描きにくいのです。この理由から歯科医院の事務長職には、まず応募そのものが少ないことが指摘できます。生涯仕事をしていきたいという方は、一般的には「仕事に人生をかけ、家族を養い、人並みに出世もしてみたい、尊敬も受けたい」という欲求を持っている方が多いと思います。しかし単独の歯科医院では、これらの希望を充分に満たせるだけのキャリアプランを用意することが大変難しい現状があります。
変化に富んだキャリアプランを望む人材であれば、せっかく仕事を覚えてもらっても1~2年で「転職」していくことも充分考えられます。その反対に、変化を望まないかわりに仕事への熱意がなく、言われたことだけを行う生産性の低いタイプの事務長を採用してしまった場合には、院長がひとつひとつ仕事を教えなければならないという、新たな「仕事」が発生してしまうのです。そして「この採用は失敗だった」と思っても、簡単に解雇するのは難しいでしょう。
業界を見ても、事務長を採用してうまくいっているのは、
院長の個人的な友人や知人が、経営パートナーとして事務長をしているケースが多いようです。
- 採用に手間暇がかかる(複数媒体への募集、面談、事務処理)
- 採用に当たりはずれがある
- 採用後は簡単に解雇できない
- 採用後の教育の負担
- 固定費の増大(社会保障等)
など、専任事務長の雇用自体が、院長の負担や悩みのひとつになることがあるのです。
2. 人材派遣を利用する
まず前提として、派遣社員登録されている方は、圧倒的に女性が多いことが特徴です。派遣社員に支払う時給は現在@2,200~2,400円が相場と言われています。弊社でも「週2回(1日8時間)だけ事務長の仕事をしてもらえれば良い」という院長の希望をうかがうことがあります。その場合の派遣費用は、およそ月150,000円と比較的安価です。
しかしここには問題があるのです。なぜならほとんどの派遣社員は、自らの生活を維持していくためにフルタイムでの契約を希望します。その場合の費用はおよそ月380,000円となり決して安くはないのです。(1日8時間×20日)
もともと人材派遣に登録する方は、時間単位で指示を受けた仕事をこなすタイプです。このタイプの場合、院長の管理負担が増えるか、また「仕事レベル・成果物のクオリティ」についても、あたりはずれがあります。もう1つのタイプは、組織への帰属をあまり好まず、自身が持つスキルの提供で自由度の高い仕事のスタイルを求めるタイプです。このタイプの場合、長期契約が困難です。例えば「一定期間お金をためて海外旅行をする」ことを目的に派遣で仕事をする方がいます。この場合、目的を果たしたら辞めてしまいますので、院長はまた新たな派遣社員を雇用し、最初から仕事の指示をしなければならないのです。
専任事務長や派遣社員と、アウトソーシングMr.歯科事務長を比較すると、
- 契約は簡単
- 経験豊富な人材がくるので生産性が高い
- 組織的にサポートするため、医院の業務は継承される
- いつでも解約できる
- 経費として扱える
- 固定費高のリスクがない
- 管理負担が軽い
- 医院経営に関する情報源としても有効
など、歯科医院の実態を反映したサービスとなっております。
「オンライン事務代行」とのサービスの違いは?
オンラインのサービスには一定の限界があります。
例えば、採用媒体を魅力的に見える形にブラッシュアップしたいという希望を、オンライン歯科事務代行を使って実現する場合、医院では以下の業務を行う必要が出てきます。そのため、思ったよりも事務負担の軽減が実現しないという声を聞くことが多くあります。
- 医院の魅力や差別化ポイントを考えて言語化する
- 集合写真撮影
- 先輩スタッフの仕事中の写真撮影
- 先輩スタッフの声のインタビュー
- 関連書類をPDF化、写真等データを送付
- オンラインでつないで要望を説明する
Mr.歯科事務長は担当事務長が定期的に医院に訪問します。スタッフへの協力依頼や写真撮影、インタビュー、記事やキャッチコピーの検討まで院長の代行として現場に深く関わりながら実務を行います。一気通貫で採用業務に関わるため「現場の温度感」、「医院への思い入れ」、「責任感」を持って進めることができます。こうした背景から、単なる「事務仕事」としての「採用」から、「戦略業務」としての「採用」という違いが生まれます。
「事務代行」と「パートナー」という違いが成果の違いにつながる
オンラインは移動時間が不要なため大変便利な方法です。セミナーや情報共有のための会議等、「情報」や「知識」の共有には十分価値のある使い方です。
しかし「仕事」や「業務」は、単なる「情報」や「知識」の共有ではありません。「仕事」のコミュニケーションには「意志」や「戦略」を伴ったコミュニケーションが必要です。
こうしたコミュニケーションをとるためには、相手の顔色や、現場の空気感が大きく影響します。そして、何よりも熱量を持ったコミュニケーションが、結局は仕事の成果に大きな違いを生み出します。
オンラインでは、この微妙なニュアンスの違いを伝えるのが困難で「まぁ、いいか」と、妥協したコミュニケーションになることを、多くの方も経験があるのではないでしょうか。
Mr.歯科事務長は担当事務長が、定期的に院長と打合せを行いながら、院長のビジョンを実現することをミッションとしてサポートに当たっています。単なる「事務代行」ではなく「パートナー」として仕事を補佐するためには、院長と接し、スタッフと接し、熱量のあるやり取りが必要と考えて業務に従事しています。
また、事務員ではなく、ビジネススキルや経験豊富な事務長だからこそ、院長と高いレベルの意見交換をすることが可能です。こうした背景から多くの院長から「手放せない存在」と評価していただいています。
各専門を持ったフリーランスを組み合わせて経営サポートを受ける方が効率が良いのでは?
「マネジメント」に関わる領域にフリーランスは向かないケースが多い
歯科医院におけるフリーランスの活用では、「効果的な領域」と「効果的でない領域」があります。
効果的な領域は、歯科衛生士や受付などの「スキル指導」またデザイン等の「クリエイティブ業務」が挙げられます。
一方「効果的でない領域」の最たるものは「マネジメント」に関わる領域です。
フリーランスとして活動している方には「組織より個人で働くことに対する志向性がある」方が多い傾向にあります。「上司の意を汲み、チームで協力して目標を達成する」というチームワークより、個人として成果を上げることを志向するがゆえに、フリーランスの道を選ぶケースが多いようです(もちろん全ての方がそうであるということではありません)。
実際に、フリーランスを活用された院長から「技術指導はありがたいが、院長の意図を汲んだ指導をしてくれない」「院長の言うことを聞かなくなり、フリーランスの言うことを聞くようになって困った」という相談を受けることも度々ありました。
フリーランスの方の志向性よっては、院長の意図する組織ではなく、フリーランス色に染まった組織風土になる可能性があります。マネジメント領域のサポートを検討される場合には、この点を意識して検討されることをお勧めします。
基本的にはフリーランスの活用は「スキル指導」や「クリエイティブ」に絞ったほうが安全であると言えるでしょう。
Mr.歯科事務長は「歯科にマネジメント」というコンセプトのもと、企業管理職のノウハウを学んだスタッフが中間管理職となってマネジメント支援を行います。企業で組織人としてのふるまいを身に着けたスタッフだからこそ、院長の意を汲み取り、スタッフへの落とし込みや院長が望む組織風土づくりをサポートできます。
フリーランスの組み合わせによるシナジーは期待できない
複数のフリーランスを組み合わせて活用することによるシナジーはあるのでしょうか?
フリーランスはそれぞれの領域で強みを持っていますが、それ以外の領域については十分な知識経験を持っていないことが多いと言えるでしょう。また、フリーランス同士がある側面では競合となり得るため、お互いのノウハウの開示は好みません。その意味でシナジーが生まれることは期待できないケースが多いでしょう。
さらに、複数のフリーランスを使うためには、それぞれのフリーランスを院長自身がマネジメントする必要があり、フリーランス業務とフリーランス業務の「業務の谷間」を、自身で埋める必要が出てきます。
Mr.歯科事務長は、「経営参謀領域」から「スタッフマネジメント領域」、「事務領域」、接遇やレセプトなどの「専門領域」まで総合的なマネジメントサービスを事業としてご提供しています。社内で知識やノウハウの蓄積を行い、スタッフ同士の連携もしっかりと行っているため、「ノウハウ面」「シナジー面」でフリーランスでは得られないメリットをご提供しています。
個人経営のアウトソーシングサービスを利用する際の注意点
事業の継続性・安定性
個人経営のアウトソーシングサービスでは、個人としてのキャパオーバーで品質が著しく落ちるケース、また病気などの理由で、業務が引き継がれずに突然の休止になるケースにより、弊社にご相談いただくことが過去に複数回ありました。
「個人の事情によるサービスへの影響が大きい」、「代替策がない」という点で、「企業」として提供しているサービスと安定性や継続性に違いがあります。
MOCAL株式会社は「企業として一通りの危機を経験する」と言われる10年を超えてサービス提供を継続しています。
個人の能力の限界がサービスの質と量の限界になる
個人経営の場合、お客様に提供できる情報やノウハウは、その方個人の経験、スキル、情報量の範囲を超えることはありません。
Mr.歯科事務長では20名以上のスタッフが歯科医院様のサポートを行い、様々なノウハウや情報を社内に蓄積、共有しています。さらに「マーケティング」や「マネジメント」「事務」など一般的な経営支援だけでなく、「接遇」「レセプト」「訪問歯科」「指導対応」など専門領域のサポートまで、幅広いノウハウ提供を行っています。
個人経営のアウトーシングを検討する場合のチェックポイント
組織より個人仕事を志向して独立したタイプのアウトソーサーの場合
独立して個人経営をしている方の中には、「組織で働くことより個人仕事を志向している方」、また会社組織に不適合を起こして「一人仕事」の道を選んでいるタイプの方もいるようです。
アウトソーサー自身が会社組織に不適合を起こして独立された方の場合、「上司の意を汲み、チームで協力して目標を達成する」という「中間管理職としてのマネジメント」の志向性がない場合があります。
こうした個人志向が高いアウトソーサーがスタッフマネジメントに関わった場合、組織運営の弊害を生む可能性がありますので、事前にチェックされることをお勧めします。
実際、「プロジェクト活動」や「委員会活動」のマネジメントを個人経営のアウトソーサーに委託したところ「スタッフから総スカンを受けて、スタッフとの信頼関係修復で苦労した」という事例を耳にするケースも数多くあります。
Mr.歯科事務長サービスは、企業組織のなかで「上司」「部下」の両方の役割やふるまいを見につけたスタッフが、歯科医院の組織を活性化するための「中間管理職」というコンセプトでサービスをご提供しているため、院長の方針に基づいたマネジメント支援を行っています。