歯科医院のミーティングを効果的に運営する3つのポイント

本コラムでは歯科医院のマネジメントに欠かせない「ミーティング運営」の基本ポイントをご紹介していきます。

歯科医院も一定の規模に成長してくると、院長一人で何もかもを判断し手を下す形から、スタッフが判断し、院長に代わって仕事を行う形へと移行していく必要が生じてきます。

そのためには、複数のスタッフとの意思疎通が必要となり、組織立ったコミュニケーションを効果的に行うことが重要になってきます。

組織コミュニケーションの基本である「院内ミーティング」を効果的に進めるためのポイントを3つ紹介します。

目次

歯科医院経営における日常的なコミュニケーションの重要性

「他人事で、白けた雰囲気」

「院長が一人で喋るだけ」

「批判的、ネガティブな発言ばかり」

医院経営を前進させるはずのミーティングが院長への不満発表会になってしまう、そんなお悩みを抱えておられる先生も多いのではないでしょうか。

「実はミーティングの成功はミーティング前に決まっている」

院内ミーティングが効果的に運営される土台として、普段のコミュニケーションがポイントになります。

これはいろいろな医院様にお伺いしていてよく感じることです。

普段のコミュニケーションが希薄なのに、突然ミーティングで熱く医院の方向性などを語ってもスタッフは白けてしまいます。

よくあるたとえ話として、コップ(スタッフの心)が逆さまになっているところに、いくら水を注いでもすべてこぼれてしまいます。まずはコップ(スタッフの心)が上を向いている状態をつくる、これが普段のコミュニケーションです。

このために他医院の先生方が実際に行われている事例をいくつか紹介させていただきます。

  • 目を見てこちらから挨拶をする
  • 日常業務のポジティブな内容を率先して伝える(○○さん、君の接遇がすばらしいと褒めていたよ、など)
  • スタッフへのちょっとした差し入れ(残って練習しているスタッフへドーナツを差し入れなど)
  • スタッフ誕生日イベントを取り入れる(ケーキと少しのプレゼントでもよい)
  • 節目でしっかりと院長からの感謝を伝える(賞与の時期や決算時に普段の感謝を伝える)

これらのプラスストロークを取り入れるだけでもスタッフとの普段のコミュニケーションの総量が増え、ミーティング時のコミュニケーションも円滑に進む実感が持てるようになるでしょう。

さらに、可能であれば「個人面談」を仕組み化し、スタッフともう一歩踏み込んだ関係構築をする時間を確保することをお勧めいたします。

1対1のコミュニケーションにより、スタッフの想いや悩みを知り、院長の価値観や何を考えているのかを伝え、信頼関係を深めることが、よりスムーズに意思疎通できる関係の土台になります。

どうしてもスタッフ個々とのコミュニケーションが苦手という先生は、コミュニケーションを補完してくれる補佐役(チーフ・事務長など)を活用することで同様の関係性をつくることも可能です。

ミーティングの目的とアジェンダを明示する

    院内ミーティングに同席していると発言力の大きいスタッフが一方的に言いたいことをいっているだけという場面に出くわすことがあります。

    これはミーティングの「目的やルール」、事前に共有されるべき「情報」がスタッフに共有されていないために起こります。

    会議を成果あるものにするには、会議の冒頭に、会議の目的と果たすべき貢献を明らかにしなければならない。そして会議をその目的に沿って進めなければならない。特定の目的のある会議を、だれもが勝手に素晴らしいアイデアを言い合う自由討議の場としてはならない。<中略>最も基本的なルールは、会議の冒頭から、貢献に焦点を合わせることである。

    <出典「経営者の条件」P.F.ドラッカー>

    本日のミーティングの目的は「先生からの情報共有」なのか、「スタッフからの報告」なのか、意見を抽出するような「ブレスト」なのか、など目的を明確化する事が重要です。

    またどこをゴールにして今日はどの順序でミーティングを行うのかというアジェンダを事前準備することもお勧めです。方向性をずらさない目的ですので、以下のような簡単な内容で良いと思います。

    • 本日の目的
    • 院長からの概況
    • 前回の振り返り
    • 今回の議題
    • 次回までの宿題

    目的に則り、アジェンダ作製し、事前に情報共有するだけでミーティングが意図せぬ方向に進むことを防ぎます。

    もう一つ大切なのが「ファシリテーション」

    ミーティングを円滑に進めるために進行役はスタッフに協力してもらいましょう。院長自身ではなく院長以外のスタッフにファシリテーションをしてもらうのがポイントです。スタッフに関わっていただくことにより、院長vsスタッフとなりがちな対立の構図を意図的に回避します。

    しかし「ファシリテーション」のレベルにより、ミーティングの質が左右されることも事実です。そして、それほどレベルの高いファシリテーションを行えるスタッフは多くはないでしょう。

    ミーティングの流れができ、参加者がミーティングに慣れ、良い雰囲気で回り始めるまでの間は、手間ではありますが、事前にファシリテーションするスタッフと綿密な打合せを行うことが大切です。

    その際、

    ・本日の狙い、落としどころはどこか

    ・どこで、誰が、どのような反応をするかを予想し、それを収める手だて

    ・議題から外れた場合の戻し方

    など、ポイントをレクチャーしておきましょう。

    ミーティングはアポを切って行う

      3つ目のポイントはミーティングの価値をスタッフに理解してもらうことです。

      価値を理解してもらうために、ミーティングを行うタイミング選びも重要です。

      これに関しては、必ず診療時間に「アポを切って」行うことをお勧めします。

      昼休みや診療後に残業代を支払わないで行うのは、ミーティングそのものの値打ちを院⻑が認めていないことになり、大事な時間ではないとスタッフは捉えます。

      あわせて「場所選び」も重要です。

      参加メンバー以外がミーティング中に出入りできるような場所や避けることをお勧めします。

      また重要なミーティングなどであれば近隣の会議室を借りるなどして普段と違う雰囲気を醸成することもお勧めです。

      ちょっとしたことですが、場所が変わるだけでも空気感が変わるものです。

      きちんと時間と場所を確保し、大切な取組みであると、言葉以外の部分でもスタッフに伝える工夫が重要です。

      まとめ

      本コラムでは、事業成長を目指す歯科医院のマネジメントに欠かせない「ミーティング」の運営について、3つの基本的なポイントをご紹介しました。

      実際には、医院の規模、事業モデル、スタッフのレベル、現在の医院の課題に応じて、ミーティングの運営の仕方やコツはさまざまに変わります。

      全体ミーティング、経営会議、チーフミーティング、セクション別ミーティング、プロジェクトミーティング、キックオフミーティングなど、ミーティングや会議といった組織的なコミュニケーションの巧拙は、マネジメントの成否に大きく関わってきます。

      これまで400件以上、10億までの歯科医院様の経営サポートに携わってきた、Mr.歯科事務長サービスがどの成長段階の医院様にも有効なマネジメント支援をご提供します。ぜひお気軽にご相談ください。

      みなさまの歯科医院経営のますますの繫栄をお祈りしております。

      この記事の解説者

      Mr.歯科事務長

      吉本 圭一 Keiichi Yoshimoto

      兵庫県出身 血液型O型

      大学卒業後、外資系スポーツアパレルメーカーの法人営業部でセールスの基礎を徹底的に
      学ぶ。

      30代半ばで通販会社を立ち上げる。代表としてWEBマーケティングやマネジメントに従事。その後、通販会社経営と並行して、3Dスキャナーの輸入代理会社を立ち上げる。

      投資家からの資金調達・広報・マーケティング・経営戦略立案などの業務に従事し、実践力のあるビジネススキルを磨き上げる。

      会社株式譲渡後にMOCALに参画。関西エリアに拠点を置き、歯科医院の経営・マーケティング・人事マネジメントなどに貢献している。

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