歯科医院のスタッフマネジメントが格段にスムーズになる超簡単な3つの実践ポイント

このコラムでは歯科経営でも多くの院長がお悩みの「スタッフマネジメント」のコツをご紹介していきます。

日々の診療よりも、スタッフ問題で疲労困憊しているという院長が本当に多いのが実情です。
その理由は、「経営者と従業員の違い」、「男性と女性の違い」、「世代の違い」、「育ちの違い」「経済力の違い」など、背景や立場、価値観がまるで違う環境にあるが故に「理解できない」ことが主な理由と言えるでしょう。

今回は、誰でも意識すればすぐに実践できる超簡単な歯科医院スタッフマネジメントのコツを3つ紹介します。

目次

女性スタッフとのコミュニケーションのコツ

「昔よりスタッフの質が落ちているような気がする」
「スタッフ同士のトラブルが耳に入るようになってきた」

と感じることはありませんか?

これは人事的なマネジメントに配慮が必要になってきたシグナルです。

スタッフ数が5人を超え始めると「院長対スタッフ」だけではなく、「スタッフ対スタッフ」の関係性も踏まえた「組織コミュニケーション」に留意しないと、院内の不調和や不協和音が起き始めます。

さらに女性の職場である歯科医院では「組織コミュニケーション術」に加えて、「女性部下のマネジメント」を意識したコミュニケーションが必須になります。

では、女性組織のコミュニケーションではどんなことに留意する必要があるのでしょうか?

さまざまな書籍で女性部下をマネジメントしてくためのコミュニケーション術が紹介されていますが、まずは、次の2つを踏まえることで、多くの不協和音が解消されていくでしょう。

大義名分(正義)をきちんと話す

一般的に女性スタッフは「論理」ではなく「感情」で判断すると言われています。
院長の話しが理屈にかなっているかどうかより、「好きか嫌いかが先行」します。

そして好きか嫌いかの判断の中心には、「院長個人の利得か」、「患者さんや医院のためか、私たちにとって良いことか」という基準があり、それを実に正確に嗅ぎ分けて反応します。

例えば、ついついこんな指示を出してしまいがちです。

悪い例:「キャンセルで空いた枠は売上のロスになるから、他の患者さんに電話して埋めて!」

良い例:「キャンセルで空いた枠は、みんながせっかく準備している時間を無駄にするし、何より治療を早く進めたいと考えている方もたくさんいらっしゃるから、電話でご案内してあげて!」

院長も人間なので、スタッフに仕事の指示や方針を伝える際に、ふと気を抜いてしまい、個人的な要素が強い発信になるケースが多くありますが、「院長は自己中!」と思われると途端に「やらされ仕事」になり、成果も期待できません。
常に気を抜かず、正義に基づく大義名分(患者さんのため、スタッフの皆さんのため、医院のため)をお話しすることが大切です。

②コミュニケーションの時間は足りていますか?

コミュニケーションについては、経営学の父と言われるドラッカーも数多くのページを割いて言及していることから、その大切さが分かります。

「経営者の条件」では次のように書かれています。

「他人のために数分間を使うことは、まったく非生産的である。計画や方向づけや仕事ぶりについて、部下と15分で話せると思っている者は、単にそう思い込んでいるだけである。肝心なことをわからせ、相手に影響を与えたいのであれば、最低1時間、多くの場合それ以上を必要とする」

歯科医院でも「面談」や「ミーティング」を行っている医院は多くなってきました。
しかし、せっかくの面談を行っていても、院長の一方的な話に終始していることや、10~15分しか時間をとっていないケースを見受けます。

院長は「言いたいことを話した」と感じているかもしれませんが、スタッフには意図が伝わっていない、そもそも院長の話を受け入れるだけの信頼関係ができていない場合も実に多いものです。

特に、スタッフとの関係性を構築する場合には、「相手の話を聴く」ことから始めることが大切です。なぜならスタッフは「聞きたい話しか聞かない」ものです。しかし、院長にしっかりと話を聞いてもらったという感覚を持った時に初めて、院長の話にしっかりと耳を傾けられるようになります。

またミーティングでも、月に30分、事務連絡や院長のまとまりのない話で終わってるケースも多く、これでは各セクションの改善点など現場の声を聞きながら仕事のレベルを上げていくなど、生産性の高いチーム医療を実現するのは困難でしょう。

  • 院内のコミュニケーションがうまく行っていない
  • 医院とスタッフとの関係性が希薄
  • 全体的に活性化していない
  • 生産性が低い(一人当たりの売上、収益性)

と感じている医院では、絶対的にコミュニケーションが不足していることがとても多いのが実情です。

特に、スタッフ数が増え、規模が大きくなってきた医院では、コミュニケーション取ることも重要な仕事の一つと考えて、診療時間を切ってでも行うべきです。

自分の医院を壊してしまう「愚痴の破壊力」

経営者である院長は、常にたった一人で「意思決定」をし、その結果に対する「責任」を負っています。

精神的にも体力的にもストレスフルななか、

「アポイントのキャンセル」
「スタッフの急な欠勤」
「何度教えてもなかなか仕事を覚えない」

などなど、イライラ・キリキリするようなことが、毎日起きているのではないしょうか。

このようなことが続くと、ついつい「スタッフに対する愚痴」が口をついてしまいますが、これはスタッフマネジメント上、要注意です。

特に「スタッフについての愚痴を、他のスタッフに話すこと」は厳禁です!

なぜか必ず本人の耳に入るものですし、同僚スタッフへの愚痴を聞いたスタッフも「自分も、裏で同じように言われているだろう」と考えてしまうのです。

愚痴にはストレス解消という効用もありますが、こうした行動は、院長に対しての信頼感、チームワークを破壊することにつながっていきます。

チームワークを形成する際、もっとも基本的な条件はまず「安心安全の場」をつくること、と言われています。

そして「安心は人間の基本的欲求の一つであり、 個人、組織を問わず、成長と発展のすべての段階においてなくてはならないものだ。」とも言われています。

さらに、「恐怖心は人を亀にする。恐怖心が支配する職場に、助け合いは生まれない」とも言われています。

院長が発するちょっとした愚痴が、めぐりめぐって、「言われたことしかやらない」「指示をしてもなかなか実行しない」という仕事態度を導くことになり、ますますフラストレーションを抱える結果につながってしまうのです。

院長というポジションから発される愚痴は、単なる個人的なストレス解消と捉えず、スタッフマネジメント上のコミュニケーションという視点からとらえることが重要です。

ちなみになぜ「愚痴」がでてしまうのでしょうか?

愚痴は、「期待している状況を手に入れられない」ことを、人や環境のせいにしたい心から生まれます。

愚痴は、望む結果や状態を、それに相応しい努力や時間を経ずして手に入れたい、という焦りの気持ちから生まれます。

こうした

「人や環境のせいにしたい気持ち」
「焦りの気持ち」

をコントロールすることも、経営者にとっては必須のセルフマネジメントと言えるでしょう。

③マネジメント上手な院長の共通項~「スタッフへの感謝の言葉」~

さて、こうした愚痴とは逆に、チームワークがよく、マネジメントに成功している院長は、

「うちは本当にスタッフに恵まれている」
「みんな頑張ってくれている」

という「スタッフへの感謝の言葉」を一様に口にされています。これは本当に共通しています。

こうした感謝の言葉は、どこから出てくるのでしょうか?

経営においては、「本来は自分がやるべきことを、自分の代わりに行ってくれている」という視点を持つことで、感謝の種を見つけることができるのではないでしょうか。

100点をあげるには程遠いスタッフでも、現に仕事をしてくれることで、院長がたった一人で行った場合に比べて、多くの仕事ができる体制を支えてくれる一員となっているはずです。

チームワークが良く、業績がよいクリニックでは、愚痴ではなく感謝の言葉が多く聞かれます。

一日の始まりや終わりに、深呼吸をしながら、スタッフに対する感謝に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

きっと、自身のメンタルマネジメントや、スタッフマネジメントの効果を実感できるようになるでしょう。

今回は、日常的な歯科医院のマネジメントの現場で、意識すれば誰でもすぐに実践できる、スタッフマネジメントの3つの実践ポイントについて紹介しました。

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