歯科のスタッフ採用で勝つための採用戦略!1年で25名を採用したプロの視点

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採用は「待つ」時代から「攻める」時代へ

かつては求人票を出して待つだけで応募が来た時代もありましたが、今は「出しても反応がない」のが当たり前の時代です。本コラムでは、私が1年間で25名の採用を成功させた経験に基づき、超売り手市場を勝ち抜くための5つの王道戦略を解説します。


1. 特定の一人に届けるメッセージの力

採用活動における最大の失敗は、誰にでも好かれようとして、結果的に誰の心にも残らないメッセージを発信してしまうことです。人手不足の焦りから「誰でもいいから来てほしい」という姿勢が透けて見える求人は、求職者にとって最も魅力のないものの一つです。

理想の人物像、いわゆるペルソナを明確に描くことがすべてのスタート地点となります。例えば、20代の若手衛生士を採用したいのであれば、彼女たちが抱く「置いていかれたくない」「基礎からしっかり学びたい」という成長への渇望や不安に寄り添う言葉が必要です。

一方で、ベテランの即戦力を求めるのであれば、これまでのキャリアを尊重し、いかに無駄なストレスなく裁量を持って働ける環境であるかを強調すべきです。

ターゲットを絞り込むことは、他の候補者を切り捨てることではありません。特定の一人が「これは私のための求人だ」と確信できるほど具体的な内容にすることで、結果としてその周辺にいる層の共感も呼ぶようになります。写真一つをとっても、若手向けなら活気ある診療風景を、ベテラン向けなら落ち着いたメンテナンス専用ルームを掲載するなど、ターゲットに合わせた視覚情報のコントロールが重要です。


2. 医院の隠れた価値を掘り起こす

求職者に選ばれるためには、まず自分たちが何者であり、何を提供できるのかを自分たち自身が深く理解していなければなりません。しかし、多くの院長先生は自院の魅力を「当たり前」のものとして見過ごしています。

医院の自己分析のプロセスでは、理念や設備といった表面的な要素だけでなく、現場に流れる空気感やスタッフ間の暗黙のルールまでを棚卸しします。例えば、院長がスタッフの誕生日に手書きのメッセージを添えている、あるいは、ミスが起きた際に個人を責めるのではなく仕組みを改善する文化がある。これらは求職者が喉から手が出るほど求めている「安心感」という名の強力な強みになります。

また、あえて「弱み」を直視することも大切です。建物が古い、駅から遠いといった物理的な弱みがあるのなら、それを補って余りある人間関係の良さや、充実した外部研修制度があることを論理的に構成する必要があります。魅力はそこにあるだけでは価値を生みません。求職者のニーズと合致する形で言語化され、初めて強力な武器となるのです。


3. 競合との比較で見える「選ばれる理由」

現在の歯科採用市場は、まさに「超」売り手市場です。厚生労働省のデータによれば、歯科衛生士の有効求人倍率は全国平均で20倍を超え、都市部では30倍を上回る地域も存在します。一人の求職者を30の医院が奪い合う構図の中では、自院が相対的にどう見られているかを知る市場分析が欠かせません。

具体的には、自院の周辺エリアにある20〜30件の歯科医院を徹底的に調査します。給与額だけでなく、休日数、福利厚生の細かな項目、さらには求人媒体に載っている写真のクオリティまでを可視化します。求職者は必ず複数の求人を横並びにして比較しています。その比較検討のテーブルに載った際、自院がどの項目で「一番」になれるかを見極めることが戦略の核心です。

この調査により、地域相場より給与が低いのであれば休日を1日増やす、あるいは休日を増やせないのなら「残業ゼロ」を徹底してアピールするといった、現実的な対抗策が見えてきます。競合を知ることは、単なる条件の叩き合いをするためではなく、自院が選ばれるための「根拠」を確立するために不可欠なプロセスなのです。


4. 応募者の不安を先回りして解消する

採用は、医院経営における最前線のマーケティング活動そのものです。求職者を「顧客」と捉え、彼らが何を求め、何を恐れているのかを徹底的に分析します。応募を躊躇させる最大の要因は「入職後のギャップ」に対する不安です。

「アットホームな職場」という抽象的な言葉だけでは、今の求職者は動きません。それよりも「入職1ヶ月目は見学中心」「2ヶ月目から先輩の相互実習」「3ヶ月目から徐々に担当制へ」といった具体的なステップを明示する方が、はるかに高い安心感を与えます。また、SNSを活用してスタッフの昼食風景や院内勉強会の様子を自然体で発信することも、心理的なハードルを下げる上で大きな効果を発揮します。

さらに、採用活動を数値で管理する視点も重要です。どの媒体から何件のアクセスがあり、何人が応募し、そのうち何名が面接に来たのか。これらの歩留まりを把握することで、どこにボトルネックがあるのかが明確になります。応募が来ないのは媒体の文言のせいなのか、それとも条件そのものが市場に合っていないのか。マーケティング的なPDCAを回し続けることが、偶然ではない継続的な採用成功への道となります。


5. 熱量を逃さない即断即決の重要性

どんなに素晴らしい求人戦略を立てても、対応の遅れがすべてを台無しにします。私が1年間で歯科医師4名、歯科衛生士11名、歯科助手10名という合計25名の採用を実現できた最大の理由は、徹底した「スピード対応」にあります。

求職者は、意欲が高まっている瞬間に複数の医院へ応募します。応募通知から24時間以内に返信が来る医院と、3日後に来る医院。どちらが「スタッフを大切にしてくれそうか」は明白です。理想は当日中のファーストコンタクトです。レスポンスの速さそのものが、医院の誠実さと組織の健全性を象徴するメッセージとして伝わります。

また、求人情報の更新スピードも鮮度に直結します。福利厚生を少し改善した、あるいはスタッフが笑顔で写った新しい写真が撮れた。そうした小さな変化をすぐに求人票に反映させるフットワークの軽さが、常に「動いている医院」という活気を感じさせます。優秀な人材ほど、変化のない古い情報には敏感です。常にフレッシュな状態を保つことが、熱量の高い求職者を引き寄せる磁力となります。


採用は医院の未来を創るブランディング

採用活動は、単なる人手不足の解消ではなく、医院の未来を担うパートナーを探す大切なブランディング活動です。どのようなスタッフと働きたいかを問い直すことは、どのような医院を目指したいかというビジョンを磨き上げることと同義です。

今回お伝えした5つの視点は、一つひとつは当たり前のことかもしれません。しかし、それを診療の傍らで徹底し、継続することは非常に困難です。求職者の心を動かす文章作成、競合との条件比較、スピード感のあるスカウト対応。これらを仕組み化し、継続的に採用力を高めていくことこそが、安定した医院経営の基盤となります。

もし、「求人を出しているのに手応えがない」「どこから改善すべきか分からない」とお悩みであれば、私たち「Mr.歯科事務長」にご相談ください。これまで400院以上を支援してきた知見を活かし、貴院の魅力を正しく世の中に伝え、理想のチーム作りを全力でバックアップいたします。

この記事の解説者

MOCAL株式会社 

丸山 優 Yu Maruyama

大学卒業後、大手家電量販店にて販売員、コーナー責任者を務め、接客スキルとお客様の立場になって徹底的に考える大切さを学ぶ。その後、営業職を経て、楽器や音楽教室を展開する大手企業に転職。

関西・東海地区11店舗のエリアマネージャーとして、店舗運営、店長/スタッフ教育、各種プロジェクト責任者、マーケティング研修、新店舗立ち上げ等、幅広いマネジメント業務に従事。

個人販売実績全国2位(約2000名中)、オリジナルモデル販売比率全国1位など複数表彰歴あり。

これまで培ったマネジメントスキルとサービス精神を活かし、より社会に貢献したい想いからMOCAL株式会社に入社。人事マネジメントとプロジェクトチーム運営を強みに現在活躍中。

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