支援型マネジメントが育てる医院の未来

スタッフがなかなか自分から動いてくれない、話し合いをしても意見が出ない。日々現場を支援していると、こうした院長の悩みを多く耳にします。しかし、これは決して院長個人の課題ではありません。多くの歯科医院が直面する成長の壁の一つです。

本コラムでは、私たち事務長が現場で大切にしている支援型マネジメントの考え方を整理していきます。教えるのではなく、支える。その姿勢がどのように医院の未来を育てていくのか、一緒に考えていきましょう。

目次

自主性が育たないとき、そこにあるサイン

スタッフが指示を待つだけになってしまう背景には、実は医院特有の環境が影響していることがあります。

動きづらい空気になっていませんか?

院長が日々忙しく、判断も指示も速い医院ほど、スタッフが意見を出す余地が少なくなってしまうことがあります。考える前に院長が答えを出してくれる状態が続くと、スタッフはいつしか自分の考えを持つことをやめ、言われたことをこなすだけの受け身な姿勢になってしまいます。

成長のチャンスを閉ざさないために

意欲がないのではなく、成長のチャンスが閉ざされているのかもしれません。スタッフが動き出すためには、関わり方の質を少しだけ変えることが重要です。指示を出す側と受ける側という関係から、共に歩む関係へとシフトするための鍵を見つけましょう。

支援型マネジメントという考え方

支援型マネジメントとは、管理することよりも、信頼して任せることを重視するスタイルです。

人が動ける環境を整える

マネジメントの本質は、人を無理に動かすことではなく、人が自ら動ける環境を整えることにあります。私たち事務長の役割は、院長の想いをスタッフが自分の言葉で理解し、行動に変えられるようサポートする橋渡しです。指示の正確さ以上に、相手が理解できる関係性が基盤となります。

通訳としての事務長の役割

私たちは、院長の方針をチームに伝え、チームの生の声を院長に返す通訳のような存在です。この相互理解が深まることで、一方的な指示系統ではなく、信頼に基づいた組織運営が可能になります。

院長の想いを支援のかたちに変える

支援型マネジメントの実践は、日常の些細な変化から始まります。

どうしてそう思う?と一言添える

スタッフの意見を聴く姿勢を見せるだけで、彼らは「自分も考えていいんだ」と安心感を得ます。この安心感が、自発的な行動の第一歩となります。

プロセスを承認し、挑戦を評価する

結果の良し悪しよりも、そこに至るまでのプロセスや挑戦した姿勢を認めましょう。失敗を恐れずに動ける文化があると、自然と現場の行動量が増えていきます。

得意を活かす場をつくる

「この仕事なら〇〇さんに頼みたい」という信頼の積み重ねが、スタッフの自信と責任感を育てます。相手の中にある力を信じ、それを発揮できる場を提供することが支援の形です。

チームが育つ瞬間:ある医院の実例

リーダーの信頼が人を動かすことを実感した、あるエピソードをご紹介します。

新しい予約システムを導入する際、ある院長がスタッフに意見を求めました。最初は沈黙が続きましたが、一人のスタッフが「患者様が混乱しないために、こうしてはどうか」と提案しました。院長はそれを「ナイス!やってみよう」と即座に採用。その瞬間、現場の空気が一変しました。

他のメンバーも次々と意見を出し始め、チーム全体が活気に満ち溢れたのです。院長の支援的な姿勢が、スタッフの勇気を引き出した象徴的な場面でした。

今日からできる3つのアクション

支援型マネジメントを医院に根付かせるための、具体的なステップです。

STEP1:見守る時間をスケジュールに入れる

院長が動きすぎると、スタッフは考える時間を失います。週に一度でも、スタッフが主体的に動く様子を意識的に見守る時間を確保してみてください。

STEP2:話を聴く場を意図的に作る

1対1のミーティングや、診療合間の雑談でも構いません。「最近どう?」という問いかけから始まる対話は、最大のマネジメントとなります。聴いてもらえるという実感がスタッフの表情を変えます。

STEP3:挑戦を褒める文化を育てる

結果ではなく、やってみようとした気持ちを認める。この積み重ねが、変化を恐れず挑戦を続ける強いチームを作ります。

関係性が変わればクリニックは変わる

医院の成長は、設備や制度の拡充だけでなく、関係性の質の向上によって実現されます。院長が信頼を示し、スタッフがそれに応えようとする循環が始まれば、チームは自走し始めます。

支援型マネジメントは、院長とスタッフをつなぐ目に見えない橋です。その橋を設計し、双方が渡りやすくすることが事務長の大切な仕事です。

最大の投資は人への信頼

医院経営における最大の投資は、人への信頼です。完璧なマネジメント理論よりも、関係性が組織を強くします。

もし「スタッフが動かない」と感じたら、まずはご自身のスタンスを支援へと向けてみてください。視線を合わせて笑顔を作り、指示をしたくなったら深呼吸をして「どう思う?」と問いかける。そんな小さな一歩から、医院の雰囲気は確実に変わっていきます。

毎日お忙しいとは存じますが、眉間のシワをゆるめて、ぜひ優しい笑顔でお過ごしください。Mr.歯科事務長は、院長の隣で共に悩み、共に前へ進んで参ります。

この記事の解説者

この記事の解説者

Mr.歯科事務長

春田 学 Manabu Haruta

営業職を経験後、新たな成長を求め、会社を創業した上司の下に異動し、ベンチャー企業での様々な事業企画や運営従事。医療介護特化型の人材紹介事業の立上げ。

臨床検査技師や放射線技師、工学技士など医療技術職と呼ばれる方々の人材紹介を通して、医療業界への貢献と接点を持つきっかけとなる。

その後、訪問看護ステーション事業の立上げを担当し、看護師や理学療法士の採用やマネージメント、利用者獲得の営業活動、レセプト等の事務業務の責任者として活動し、MOCALへ入社。

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