歯科に経営理念は必要なのか?~理念がある医院とない医院の違いとは~

目次

経営理念とは何か?

「経営理念は大事とよく聞くが、本当に必要なの?」そんな疑問をお持ちになる歯科医院の院長先生もいらっしゃると思います。そもそも経営理念や基本理念とはどういったものなのでしょうか?

経営理念とは

「自院が何のために活動を行うのか」「何のために存在するのか」を明文化したものであり、事業の目的や意義、経営者の哲学や信念に基づく基本的な考え方や方針を示したものです。 また、スタッフが様々な業務の中で判断に迷ったとき、方向性が分からないときに指針となるもの、院長と同じような考えや行動ができるようにするもの、それが経営理念(基本理念)です。

言うなれば「錦の御旗」のようなもので、例えば武田信玄の「風林火山」や織田信長の「天下布武」の旗のような役割だと言えるでしょう。武田軍、織田軍が共に強力な軍勢だったのは、この主君が旗で掲げた理念をしっかり共有していたこともあったのだと思います。

よりイメージがつきやすいように現代企業で有名な経営理念の一部を少しご紹介したいと思います。

Google

「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」

Amazon

「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」

ソニー

「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」

ソフトバンク

「情報革命で人々を幸せに」

京セラ

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

経営理念がある医院とない医院の違い

私自身数多くの医院様を見てきましたが、基本理念を掲げそれをスタッフに浸透させている医院様は、各スタッフが理念に照らして考え判断する習慣になっているため、院長がいなくても各持ち場で医院としての正しい判断ができる(しようとする)強固な組織になっています。このことによって全体的にスタッフの生産性とモチベーションとが高く、発展を続けている医院様が多いように思います。

京セラ、第二電電(現KDDI)を創業し、経営破綻した日本航空の再建を果たしたことでも有名な稲盛和夫氏は著書「経営12箇条」の第1条で「事業の目的、意義を明確にする」ことを挙げており、それをベースに経営を進めてきたことが、前出3社の発展をもたらしたのだと確信しているとお話されています。

また、アメリカを中心とした60以上の優良企業を調査分析した著書「エクセレントカンパニー※」で世界的に有名なコンサルタントのトム・ピーターズも、同書の中で「革新的な超優良企業が共通して持っている8つの特徴」の1つに「価値観に基づく実践」を挙げており、以下のように述べています。

『私たちが超優良企業の調査から引き出したただ一つの真理を求めているとしたら次のように答えたい。「自社の価値体系を確立せよ。自社の経営理念を確立せよ、働く人の誰もが仕事に誇りを持つようにするためになにをなしているかと自問せよ」』

※「エクセレントカンパニー」:P&G、ジョンソン&ジョンソン、マクドナルド、スリーエム、ヒューレットパッカード等60以上の卓越した優良企業を調査分析し、共通して持つ特徴を8つにまとめた書籍。

理念の大切さは洋の東西を問わず、謳われているようです。

実際に私自身も数多くの歯科医院様を見てきた中で、もし院長先生が院長方針のもと医院を発展繁栄させていきたいのであれば、経営理念は間違いなくあったほうがよいと感じております。

経営理念をスタッフに浸透させる方法

しかし、経営理念を作ったのは良いが、実際にスタッフの中に浸透させることができず、絵に描いた餅になってしまっている医院様もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、どのように浸透させていくのか?

今回は卑近な例として弊社MOCALでの取り組み事例をご紹介したいと思います。

弊社MOCALでは、入社時に必ず当社サービスの基本理念が記された「Mr.歯科事務長の仕事哲学」という冊子が配布されます。
そこには、Mr.歯科事務長の事業の目的やサービス誕生のストーリー、サービスコンセプトやプランごとの行動指針などが記されています。

【Mr.歯科事務長5つの仕事哲学】

  • 孤独な経営者である院長が何でも相談できる、心強いサポーターです。
  • 院長の思いや戦略を「具体化」するための頼もしい実務者です。
  • 客観的な第三者として医院を評価するアドバイザー役です。
  • 院長とスタッフのコミュニケーションをサポートする潤滑油です。
  • 業界情報やノウハウ、人脈など新しい情報を得られる情報ソースです。

これらがMr.歯科事務長サービスの基本理念にあたります。

(「Mr.歯科事務長の仕事哲学」が一体どういったものなのか社員が熱く語り合っているYouTube動画もありますのでぜひご覧ください!)

事務長メンバーはいつもその冊子を持ち歩いていますが、各現場で何か判断に迷った際に、この仕事哲学に書かれている基本的な考え方に立ち返ることで、Mr.歯科事務長としてどのように判断したらよいかを考える習慣づけを行っています。

その他の取り組みとして…

  • 代表が定期的に経営理念や今考えていることを従業員に発信する
  • 理念採用として採用面接の段階から当社が大切にしている価値観(経営理念)を伝える
  • 新人教育の中で理念教育をプログラムに組み込む
  • ミーティングの中でMr.歯科事務長の仕事哲学に沿った業務での気づきや実践事例をシェアする

これらはあくまで一例ですが、歯科医院様でも取り入れられることがあるかもしれませんので、何か一つでもご参考にしていただければ幸いです。
まずは、ミーティングや朝礼終礼の場で、院長ご自身が定期的に基本理念や大切にしている考え方、また今考えていることをスタッフに発信する時間を定期的に設けてみるのも良いかもしれません。

伝え方はご自身のスタイルにあったものでよいかと思います。
お話が上手な院長は口頭で直接お伝えする形でもよいと思いますし、文面があったほうが伝えやすい方は簡単にスライドや文書を準備してもよいでしょう。とある大規模法人の理事長は、法人グループのSNSを活用して文章で全メンバーに毎月発信していたり、半期に1回は全体ミーティングで理念や考えを発信していたりします。

歯科医院成長を目指される院長こそ経営理念の策定と浸透を

「うちは10人未満の小さい歯科医院でスタッフとの意思疎通もできているから必要ない」と思われる先生もいらっしゃるかもしれません。しかし経営理念を作りその価値観を組織に浸透させることが出来れば、一層の付加価値と競争力を生み出す原動力となり、今後の医院発展の礎となっていきますので、医院の成長を目指される先生は、早いうちからお作りすることをおすすめします。

今回お伝えした経営理念の策定やスタッフへの浸透について、一人で進めるのは難しいと感じていらっしゃる院長先生がいらっしゃいましたら、Mr.歯科事務長サービスにお気軽にご相談ください。
「歯科にマネジメントを」のコンセプトの元、院長の右腕として医院発展のサポートをさせていただきます。

院長先生方の医院経営や組織運営の参考になれば幸いです。
皆様のクリニックのますますの繁栄をお祈りしております。

この記事の解説者

Mr.歯科事務長

宮原 寛行 Hiroyuki Miyahara

福岡県出身 血液型O型

Mr.歯科事務長の哲学と実務にもっとも忠実に、常に真摯にお客様をサポート。「信頼には必ず応える男」として多くのお客様から熱い支持を受ける。サポート実績No.1。

院長の良き参謀役かつ実務推進者として、業績向上マーケティング・院内仕組みづくり・経営相談役などを担い、数多くの院長の個性や強みを活かしたビジョンの実現・クリニックのオリジナルの発展繁栄に貢献。

現在は、大型法人向けの事務局アウトソーシングサービスも担当し、事業モデル構築・組織化を推進している。

よろしければシェアをお願いいたします
  • URLをコピーしました!
目次