コンビニよりも多いと言われる歯科医院。「近いから」という理由だけで選ばれる時代は終わりました。数ある中から「この先生がいい」と選ばれるためには、独自の「強み」を軸としたブランディングが不可欠です。
本コラムでは、貴院の強みを見つけ出し、患者さんに届けるための具体策をご紹介します。
なぜ「強み」に特化したブランディングが重要なのか?

「なんでも診ます」というスタンスは、患者さんにとって「特徴がない」と同義になりがちです。特定の強みを打ち出すことには、経営上、大きなメリットがあります。
価格競争からの脱却と「選ばれる理由」
「虫歯治療」などの一般的な項目だけで勝負しようとすると、患者さんはどうしても「距離」や「価格」といった分かりやすい指標で医院を比較してしまいます。しかし、「精密根管治療に特化している」「重度歯周病の再生療法が得意」といった明確な強みがあれば、患者さんは「技術」や「解決策」で医院を選びます。独自のポジションを築くことで、近隣医院との不毛な価格競争や消耗戦から脱却することができます。
ミスマッチを防ぎ、高い成約率を実現する
強みを明確にすることは、「それを求めている患者さん」を呼び寄せるフィルターの役割を果たします。例えば「痛くない治療」を強みにすれば、歯科恐怖症の患者さんが来院し、貴院の配慮に深く感動してくれるでしょう。ニーズが合致しているため、治療計画への同意もスムーズになり、結果として自費診療の成約率向上にもつながります。
経営の安定化と好循環の創出
「あの先生は〇〇が上手だよ」といった口コミは、内容が具体的であるほど広がりやすい性質を持っています。強みが明確だと、患者さんが知人に紹介する際の「紹介文句」が作りやすくなるのです。結果として、多額の広告費をかけなくても良質な患者さんが集まり、経営基盤が安定する好循環が生まれます。
貴院の「強み」を見つけ出す3つの視点

「ウチには特別な強みなんてない」と謙遜される先生も多いですが、日々の診療の中に必ずヒントは隠れています。以下の3つの視点で掘り下げてみましょう。
患者さんの「何気ない言葉」に耳を傾ける
最も確実なヒントは、患者さんの言葉の中にあります。「麻酔をいつしたか分からなかった」「説明がすごく分かりやすい」といった感謝の言葉は、技術そのものだけでなく、プロセスへの評価でもあります。また、Google口コミやアンケートで高評価を得ているポイントに潜在的な強みが隠れていることがあります。
スタッフの「客観的な視点」を取り入れる
院長自身が当たり前だと思っていることでも、スタッフから見れば立派な強みであることは多々あります。ミーティングなどで「当院を友人に紹介するとしたら、どう紹介する?」というテーマで話し合ってみてください。「先生の手際が良い」「清掃を徹底している」といった内部視点ならではの意見や、保育士資格を持つスタッフがいるといった人材のスペックも、医院の大きな武器となります。
地域ニーズと競合医院の隙間を探る
商圏エリアの人口構成やライフスタイルを分析し、求められているニーズを探ります。同時に、近隣の歯科医院のホームページをリサーチし、競合が訴求していないポジション(空白地帯)を見つけることも重要です。例えば、インプラントを推している医院が多い地域なら、あえて「歯を残す治療」を強みにすることで、明確な差別化が可能になります。
ホームページで「強み」を効果的に伝える方法

見つけ出した強みは、正しく「伝わる形」にしてホームページで表現しなければ意味がありません。
患者さん主語の言葉と視覚情報で伝える
キャッチコピーは「最新CT導入」といった機能の説明ではなく、「CTによる精密診断で、再発リスクを抑える」といった、患者さんにとってのメリット(ベネフィット)を言語化しましょう。また文章だけでなく「証拠」を視覚化することも重要です。症例写真(ビフォーアフター)はもちろん、認定証、設備、そして院長やスタッフの笑顔の写真は、患者さんの不安を払拭し、「ここなら任せられる」という信頼感を与えます。
専門用語を「翻訳」して安心感を醸成する
「補綴」や「歯内療法」といった専門用語は、そのままでは患者さんに伝わりません。「被せ物」や「歯の根の治療」と言い換えたり、図解を入れたりする工夫が必要です。「分からない言葉を使わない」という配慮自体が、「患者さん想いの医院である」というブランディングに繋がります。
「強み」を活かした継続的な情報発信
ホームページを作って終わりではなく、SNSやブログで強みに関連する情報を発信し続けることが重要です。「入れ歯」が強みならお手入れ方法の記事を、「予防」が強みならブラッシング動画をと、専門的なコンテンツを蓄積していくことで、悩みを持った患者さんとの接点が増え、信頼関係が構築されていきます。
まとめ
「強みに特化したブランディング」とは、医院の魅力を整理し、それを必要としている患者さんと正しくマッチングさせるための戦略です。「なんでもできる」から「これが得意」へ。勇気を持って旗印を掲げることで、貴院の経営はより安定的で、やりがいのあるものへと進化します。ぜひ本コラムを参考に、貴院だけの「強み」を再発見してみてください。
もし、客観的な強みの発掘や、Web戦略の立案にスピード感を持って取り組みたい場合は、私たちのような専門パートナーを活用するのも一つの手です。経営やブランディングについてのご相談も、お気軽にお寄せください。
この記事の解説者

この記事の解説者
Mr.歯科事務長
鈴木 智也 Tomoya Suzuki
千葉県出身 血液型O型
大学卒業後、歯科用インプラントメーカーに入社。
新規の医院様をメインに営業し、多くの歯科医院様へ自社製品のご案内をしておりました。
その後、訪問歯科のサポート会社へ転職。
コーディネーターという訪問歯科の現場を支える職種を経験し、さらにより医療側に近い部署に配属。訪問の請求業務やレセプトチェックなど幅広い事務業務も経験させていただきました。
提携している医院様と接していく中で、もっと多くの医院様の為に貢献したいという気持ちが強くなり、MOCAL株式会社への転職を決意。
趣味は社会人リーグに所属するほどのフットサル好き。休日は子育てとフットサルを両立させる難しさと楽しさの両方を感じながら日々を過ごしています!
